BMXライダーがリレー形式でお届けするライダーズコラム。
今回は、前回の執筆者SHINよりバトンを受け取ったオマセがお届けします。
初対面の方と挨拶する時は「本名ですか?」とやんわり気を遣われながら言われるのにも慣れましたオマセです。
名古屋周辺で細く長くBMXに乗っておりまして、特定の年代の部品(特に新品)を見つけると脊髄反射で手に入れてしまうのですが、それはアート好きな人が居間に絵画を飾るような感覚だと勝手に解釈しております押忍!
かれこれ大昔からお付き合いをさせてもらってる西山さんからのバトンを受け取ったものの文章を書くのなんてmixi日記以来だし思ったように筆も進まず、ダウジングでストリートを廻る企画を載せようかとか、歩けば伝説を残すでお馴染みDB君が骨折して臨月の奥さんに「SHINE」と言われてるのを見てプラマイゼロだなと思ったエピソードを書こうかなとか考えてたんですけど、以前耳にした心に残る言葉をふと思い出したのでその話をさせてもらおうかと思いますのでしばしお付き合いくださいませ。
約10年前の話なのですが、当時働いていた油脂類メーカーのお客様からのお誘いでデコトラのイベントに参加しました。
その時まったく根拠は無かったのですが個人的に極端で土俗的な未知の文化に触れて何か良いインスピレーションを得られるんじゃないかとノリノリで現地に向かったことをよく覚えています。
いざ現地に着いてかなりの台数のオールド〜ニュースクールのド派手な改造が施された車両を拝見しオーナーさん達からこだわりポイントやトータル金額、カスタムの手法や歴史なんかを聞きながら楽しんでいると、気づけば日も落ちて電飾が焚かれ、ヘタなイルミネーションよりパない通り越してピない壮大な世界が出現し、それに浸って楽しんでいたんですね。
ぐるっと1周回りきった頃、会場の中央あたりがやけに騒がしいのに気づいて向かってみるとキャビンに音響機材を搭載した1台のデコトラダンプが爆音でアッパーめなダンスミュージックをスピンしはじめたんです!
序盤はBPM低め、フロアの熱気の高まりに呼応するかたちで電飾を次々に点灯させ更には普段目にする事のない裏側まで電飾された荷台もせり上がり、他を圧倒する神々しい佇まいにオーディエンスは魅了されていました。
そんなこんなでDJタイムが数十分くらい経過した頃なのかな?ダンスホールの盛り上がりも最高潮に達した所でイベントは幕を閉じたのでした。
その粋な文化にいたく感動してしまった僕はデコトラダンプサウンドシステムのオーナーである翔さんの元へと向かいました。とっぽい容姿と名前がシンデレラフィットしてる御大に内心ビビりながらも勇気を出して向かい素晴らしい体験ができたと感謝の意を伝え、そして「なぜ走らせるだけでリスクが増える車両でこんな事をするのか?」と尋ねました。BMXに乗る者からしたら聞いてみたい質問ですしね
すると翔さんは多くを語らず一言
「じっとしてらんねぇんだ」
正直ハッとしましたよ。おそらく見る人を楽しませたいとか対外的なポーズを取ってお茶を濁すだろうと勝手に予想してたんです。だって自分達がやってる事は崇高であると思いたいし自らを正当化する大義名分が欲しいじゃないですか?やっぱりさ
この時の心情の変化を言語化するの難しいですが、ある種スケベ心と言いますか野次馬根性?やや不純な動機で現地に向かっていたし、傍観者に成り下がっていた自分を恥じたわけなんですね。
なにかを事細かに長文で説明するのってなんか聞き手の感情が入り込む余地が無くなっちゃうしさ、何しろ相手の想像力への冒涜だし野暮だなと思っているフシがあるんで多くを言うつもりはありません。
ただ、我々の初期衝動「じっとしてらんねぇんだよ」という行動原理自体に異論を挟む余地は無いはずと思いますし、そして何事にもそんなピュアなマインドで臨んでいきたいもんだなと思ったのと、皆さん超攻撃的な感じかと思いきや会話してみると、それはそれはピースフルな世界の中で互いへのリスペクトで繋がっていて地に足つけてこっそりと大人の秘め事に興じつつもルールは「…」しつつもマナーは守ると、こんな高い精神性のもとにこの文化が護られているんだなと感銘を受けました。
兎にも角にも思ってもみない形でグッドバイブレーションをゲットできて何事にも代えがたい経験ができてよかった!
そして話は変わって先日MOTO-BUNKAでも紹介してもらったんだけど「じっとしてられなかった」我々の仲間ヒロミチ君が撮った事も編集した事もなかったけど一念発起して名古屋近郊の35歳以上のライダー(平均年齢40歳)に招集をかけ、どことなくあの頃感を感じる内容の動画『OVER』を公開したので是非見ていただけたらみんな喜びますのでチェケラッチョ願います何卒!
自分はやろうと決めていた事が3つあってファーストスポットをトライ中に顔着喰らって不完全燃焼で強制終了してしまったので名古屋での撮影をお考えの方、是非僕を誘ってやってください!
もういくらでも話せちゃうのでとっ散らかる前に締めておきますね。
どんな事柄からでも自分の中の新しい価値感を見出すことができたらそれはそれはとても素晴らしいし、その数は多ければ多いほどより良い世界になると思うんすね。そんな感覚を多くの人達とシェアできたらいいなと思った次第です。抽象的すぎます?笑
そしてそして次にバトンを回す人なんだけど意外にもコレがいちばん迷いました。
いまだに憧れの人です!乗り方をよく真似させてもらったんですけど、コピーばかりしてても駄目だなって気づかせてくれたのもこのお方なんです。氏と西山さんがいなければ今自分がBMX乗ってないだろうな〜と思いますほんとに。
いちファンとして氏のコラムを読みたいし、そう思う方々が全国にいるはずなので誠に恐縮ではありますがバトンをパスさせてもらおうと思います。丸屋君よろしくお願いします!